天之御中主神|日本神話で最初に現れた”宇宙の中心”

Uncategorized

神様の中の神様って、誰だと思う?

天照大神(あまてらすおおみかみ)?スサノオ?それとも大国主?

実は、日本神話のいちばん最初に登場するのは、もっと意外な神様。

その名も 天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)

名前からして、もう只者じゃない。「天の真ん中の主」って、字面だけで宇宙のラスボス感がすごい。

でも、この神様。古事記に登場した次の瞬間、サッと姿を消してしまうのです。

登場わずか一行。セリフなし。エピソードなし。なのに「最強」と語り継がれる、謎すぎる神様。

今日はそんな、最も寡黙で、最もスケールがデカい神様のお話です。

名前の意味とルーツ

まずは名前から解読していきましょう。

「天之御中主神」を分解すると、こうなります。

  • 天之(あめの)=天の
  • 御中(みなか)=真ん中
  • (ぬし)=主人・支配者
  • (かみ)=神様

つまり、「天の真ん中を司る主の神」

宇宙の中心に座すボス、というイメージですね。

「天」と「主」という、最強クラスの漢字をフルセットで盛り込んだネーミング。神様の中でも、別格感が漂います。

登場するのは『古事記』の冒頭、いちばん最初。

「天地初発(てんちしょはつ)の時、高天原(たかまがはら)に成りし神の名は、天之御中主神」

天と地が分かれた、その瞬間。高天原という神々の世界に、ポンと現れたのがこの神様。

つまり、日本神話のトップバッターです。

別名は「天御中主尊(あめのみなかぬしのみこと)」。日本書紀での表記です。

読み方も少しやさしくなって、グッと親しみやすい雰囲気。とはいえ、スケールの大きさは変わりません。

宇宙の中心 天の川のイメージ
写真:天の川パノラマ(撮影:Juliancolton/Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)

誕生秘話

『古事記』はこう書いています。

天地初めて発(ひら)けし時、高天原に成りし神の名は、天之御中主神。次に、高御産巣日神(たかみむすびのかみ)。次に、神産巣日神(かみむすびのかみ)。此(こ)の三柱の神は、並びに独神(ひとりがみ)と成り坐(ま)して、身を隠したまひき

ざっくり訳すと、こう。

「天地が分かれた瞬間、高天原に三柱の神が現れた。みんな独り神で、すぐ姿を消した」

この三柱が、造化三神(ぞうかさんしん)と呼ばれる神々。

天之御中主神は、その筆頭です。日本神話の創世記、ど真ん中のセンターポジション。

「独神」というのは、男女のペアを持たない神様のこと。普通、神様は男女ペアで生まれて子孫を作るのですが、この三柱は単独で出現。

そして「身を隠した」。

これ、ふつうに考えるとめちゃくちゃ気になりません?

主人公がオープニングで自己紹介だけして、即フェードアウト。続編に出てくる気配もなし。

でも、それこそが、この神様の「格の高さ」を物語っているとも言われています。

偉すぎて、人前に出てこない。VIP中のVIP、というやつです。

会社で例えるなら、創業者にして名誉会長。本人は表に出ず、組織のいちばん奥で、すべてを静かに見守る存在。

実務は若い神様たちに任せる。でも、彼がいなければ、この世界は始まらなかった。

意外な逸話・特徴

この神様、調べれば調べるほど、不思議なエピソードが出てきます。

日本書紀ではほぼ「いないこと」になっている

古事記では冒頭にデーンと登場する天之御中主神ですが、『日本書紀』の正伝(本文)には登場しません

第一段の「一書(あるふみ)第四」という、いわば異説エピソードでようやく名前が出てくる程度。

古事記で最強、日本書紀ではモブ。

同じ時代に書かれた歴史書なのに、この扱いの差。ファンとしてはたまらない謎です。

中世、まさかの「妙見菩薩」と同一視される

中世になると、神仏習合の波が押し寄せます。

仏教の妙見菩薩(みょうけんぼさつ)と、天之御中主神が「同じ神様じゃね?」と結びつけられたのです。

妙見菩薩は、北極星(北辰)を神格化した仏様。

夜空で唯一動かない星、北極星。すべての星はその周りを回ります。

「天の真ん中の主」=「動かない中心の星」=「妙見菩薩」。

この理屈、納得感ありすぎませんか?

こうして「北極星=妙見菩薩=天之御中主神」という方程式が完成し、各地で妙見信仰として広まっていきました。

特に有名なのが、関東の名門武家・千葉氏。彼らは妙見様を一族の守護神として深く信仰し、千葉の地に妙見信仰を根付かせました。

戦国時代の武将たちにとって、北極星はまさに「ぶれない指針」。武運を司る星として、頼られる存在だったのです。

江戸時代、平田篤胤による大復活

そして江戸時代。

国学者の平田篤胤(ひらたあつたね)が、この神様にスポットライトを当てます。

篤胤は『霊の真柱(たまのみはしら)』という著作で、宇宙創造の主役は造化三神だと主張。

特に天之御中主神を「最高神」として位置づけ、復古神道の根幹に据えました。

この影響で、江戸時代後期から明治にかけて、天之御中主神を祀る神社が一気に増加

千年以上もマイナーだった神様が、まさかの大復活劇を遂げたわけです。

祀られている神社

では、この最強寡黙神に会いに行ける神社をご紹介します。

東京大神宮(東京・飯田橋)

東京で「お伊勢参り」ができることで有名な神社。

ご祭神は、天照皇大神・豊受大神に加えて、造化三神(天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神)、そして倭比賣命(やまとひめのみこと)。

「造化三神=結びの神」ということから、縁結びの聖地として大人気。

明治13年、明治天皇の勅裁により創建されました。

公式サイト:https://www.tokyodaijingu.or.jp/

千葉神社(千葉県千葉市)

通称「妙見様の御本宮」。

主祭神は北辰妙見尊星王(ほくしんみょうけんそんじょうおう)、すなわち天之御中主大神と同一神とされる存在。

ご利益は厄除開運・八方除。星を司る神様だけあって、勝負運や眼病平癒のご神徳でも知られています。

公式サイト:https://www.chibajinja.com/

星田妙見宮(大阪府交野市)

「七曜星降臨の地」と呼ばれる、ロマン全開のパワースポット。

ご祭神は天之御中主大神を筆頭に、造化三神。ご神体は影向石(ようごうせき)という巨石です。

平安時代、弘法大師が秘法を唱えると、天から北斗七星が降りてきて、3か所に分かれて落ちた、という伝説が残っています。

7月7日の七夕祭、7月23日の星降り祭は必見。

公式サイト:https://www.hoshida-myoken.com/

一緒に祀られる関連神社

天之御中主神は単独で祀られることもあれば、造化三神セットや別天津神五柱として並祭されることもあります。

■ 出雲大社 御客座五神(島根県出雲市)
本殿内殿の御神座の向かいに鎮座する「御客座五神(みきゃくざのごしん)」として、天之御中主神は別天津神五柱の筆頭で祀られています。大国主大神の本殿でひそかに祀られる――まさに「宇宙の中心」にふさわしい配置。

■ 四柱神社(長野県松本市)
造化三神+天照大神を主祭神とする松本市の中心鎮守。「願いごと結びの神」として有名で、天之御中主神を含む四柱すべてに同時参拝できる。

■ サムハラ神社(大阪市西区)
造化三神を祀る「災難除け・延命長寿」の神社。指輪守の人気で全国的に有名。

全国の関連神社(地域別)

天之御中主神(アメノミナカヌシ)を主祭神、または妙見信仰として祀る代表的な神社を地域別にご紹介します。

■ 関東千葉神社(千葉県千葉市)――北極星・北斗七星の神霊「北辰妙見尊星王」を主祭神とし、古事記の天之御中主大神と同一神とする全国屈指の妙見系大社。厄除開運・八方除で知られます。公式:https://www.chibajinja.com/about/gosaijin/index.html
秩父神社(埼玉県秩父市)――明治の神仏分離で天之御中主神を加祀。妙見菩薩信仰の流れを汲む知知夫国総鎮守。公式:https://www.chichibu-jinja.or.jp/saijin/
東京大神宮(東京都千代田区)でも造化三神の一柱として合祀されています。

■ 中部四柱神社(長野県松本市)――天之御中主神を含む四柱を主祭神とする「願いごとむすびの神」。
静岡県内では、妙見神社(下田市三丁目)六所神社(浜松市浜名区/天之御中主命を合祀)など、妙見系神社が点在します。明治の神仏分離の際、各地の妙見社(北極星=妙見菩薩)の多くが天之御中主神を祭神として再編されました。
参考:八百万の神(静岡県・天之御中主神)

■ 近畿星田妙見宮/小松神社(大阪府交野市星田)――造化三神を主祭神とし、平安期に空海が七曜星を勧請したと伝わる磐座信仰の霊場。公式:https://www.hoshida-myoken.com/
サムハラ神社(大阪府大阪市西区)も造化三神を「サムハラ大神」として祀ります。公式:https://www.samuhara.or.jp/

■ 九州・沖縄天之御中主神社/妙見神社(鹿児島県鹿児島市宇宿)――島津忠久が勧請したと伝わる古社で、妙見信仰の流れを汲む天之御中主神を主祭神とします。鹿児島県内には妙見系の社が複数点在しており、地域に根づいた信仰が今も残っています。
参考:鹿児島県神社庁

関連記事

天之御中主神について知ったら、次はこの神様たちもチェックしてみてください。

まとめ

天之御中主神は、日本神話のオープニングにたった一行だけ登場し、すぐに姿を消してしまった神様。

でも、その「沈黙」こそが、最強の証。

北極星のように、ぴくりとも動かず、すべての中心に座り続ける。

千年以上もマイナー扱いされながら、平田篤胤の手によって大復活。今では縁結びや厄除けの神様として、東京大神宮や千葉神社で人々を見守っています。

派手な逸話はない。でも、いちばん最初に、いちばん高いところにいる。

それが、最強なのに最も寡黙な神様、天之御中主神なのです。

夜空に北極星を見つけたら、ちょっと手を合わせてみてください。きっと、静かに見守ってくれていますよ。

参考

🗻 姉妹サイト:しずおかプレス

静岡の観光・グルメ・イベント情報を地元編集部がお届け。神社・お寺の取材記事も豊富です。

しずおかプレスへ >

🏯 出雲を訪れる旅へ

出雲の宿を楽天トラベルでチェック。神社参拝とあわせて、神話の舞台を体感する旅を計画してみませんか。

出雲の宿を楽天で探す >

※当サイトは楽天アフィリエイトプログラムに参加しています

📿 古事記をもっと深く知りたい方へ

古事記の入門書から、御朱印帳まで。神話の世界を楽しむアイテムを楽天市場で。

古事記の本を楽天で探す >

御朱印帳を楽天で探す >

※当サイトは楽天アフィリエイトプログラムに参加しています

コメント

タイトルとURLをコピーしました