神様の数え方は”柱”|古事記の最初の神様”造化三神”とは何者か

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「神様って、1人2人?それとも1体2体?」
そう聞かれて、即答できる人はかなりの神様マニアです。

実は日本の神様には、ちゃんと専用の数え方があります。それが 「柱(はしら)」

「一柱(ひとはしら)、二柱(ふたはしら)、三柱(みはしら)……」と数えるんです。なぜ「柱」?そしてそもそも、日本神話で一番最初に現れた神様って誰?

今回は、知っているとちょっと自慢できる「神様の数え方」と、日本神話の主役級・造化三神(ぞうかさんしん)の正体に迫ります。

神様の数え方は「柱」|なぜ木の柱?

日本の神様を数える単位は、原則として 「柱(はしら)」

「柱」という漢字は 「木」+「主」 で構成されていて、「主=そこにじっと立って支える存在」を意味します。古代の日本では、大きな樹木に神様が宿ると信じられていました。

遠くからでも見える御神木が、ご神体そのもの。「神様=木の柱に降りてくる存在」というイメージが、そのまま単位として定着したのが「柱」というわけです。

ちなみに、神社の鳥居や本殿の中央にある「中央柱」も、神様が降りてくる依代(よりしろ)。神社建築そのものが「柱」信仰のかたちなんですね。

古事記 写本のイメージ
写真:真福寺本古事記(1371-1372年 賢瑜写・古典保存会1924年複製版)・パブリックドメイン

実は「柱」以外もある|神様の単位5種類

「柱」が基本ですが、神様の数え方には他にもバリエーションがあります。

単位読み方使われる場面
はしらもっとも一般的。古事記・日本書紀ほぼすべて
神社で祀られている神様を数えるとき
しん固い文献・神道学の文脈
たい神像・仏像など「形になった神」を数えるとき
そん日本書紀で多用される尊称

仏様の数え方も気になるところですが、こちらは 「体(たい)」「尊(そん)」「位(い)」を使うことが多いです。神様は柱、仏様は体・尊・位。覚えておくと雑学王になれます。

日本神話で一番最初に現れた神様は誰?

結論から言うと、『古事記』が示す「最初に現れた神様」は3柱まとめて存在します。それが、 造化三神(ぞうかさんしん)

世界がまだ何もない「天地開闢(てんちかいびゃく)」の瞬間、高天原(たかまがはら)に現れたのがこの3柱です。

1. 天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)

名前は 「天の真ん中の主」 という意味。宇宙の中心に立つ、いわば 日本神話のラスボス級

……ですが面白いことに、登場した瞬間に「身を隠した」と書かれていて、その後はほぼ出番なし。最強なのに最も寡黙な神様、それが天之御中主神です。

2. 高御産巣日神(タカミムスヒノカミ)

「ムスヒ」は「結び=生み出す力」を意味します。万物を生み出すエネルギーの象徴。

天之御中主神とは違い、後の神話にも度々登場し、天孫降臨(てんそんこうりん)の司令塔として活躍します。日本神話の裏ボス的存在。

3. 神産巣日神(カミムスヒノカミ)

こちらも「ムスヒ」がついた生成の神。大国主神(オオクニヌシ)を蘇らせた逸話で知られ、いわば「神様界の救命医」。

高御産巣日神とペアで語られることも多く、男女の対立構造とは違う 双子的存在 として扱われています。

さらに2柱加わって「別天津神」が完成

造化三神に続いて、2柱の神が登場します。

  • 宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂノカミ) 葦の芽が伸びるような生命力の神
  • 天之常立神(アメノトコタチノカミ) 天の永遠性の象徴

この2柱を造化三神に加えた合計5柱を、「別天津神(ことあまつかみ)」と呼びます。古事記の冒頭ベスト5、と言ってもいい超重要メンバーです。

古事記と日本書紀で「最初の神」が違う?

ここでマニアックな話を一つ。

『古事記』では 天之御中主神が最初 ですが、『日本書紀』の正伝では 国常立尊(クニノトコタチノミコト)が最初 として登場します。

書物最初に現れた神編纂年
古事記天之御中主神(造化三神の筆頭)712年
日本書紀国常立尊720年

同じ時代に書かれたのに、なぜ違うのか?答えは 「目的が違ったから」

古事記は 国内向け・神話重視、日本書紀は 対外(中国)向け・歴史書として正統性アピール。同じ神話を別の角度から再編集した、いわば 「日本神話のWindowsとMac」みたいなものなんです。

関連神社|造化三神を祀る・一緒に祀られる神社

「最初の三柱」とされる造化三神(天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神)。実は三柱まとめて祀る神社がいくつかあります。「神様の数え方」を学んだら、ぜひ実際に参拝して「三柱の神様だな」と数えてみてください。

造化三神を主祭神として祀る神社

■ 東京大神宮(東京都千代田区)
「東京のお伊勢さま」。天照皇大神・豊受大神に加え、造化三神+倭比賣命を祀る。造化三神=「結びの神」ということから、縁結びの聖地として全国的に有名。明治13年、明治天皇の勅裁により創建。
公式:https://www.tokyodaijingu.or.jp/

■ サムハラ神社(大阪府大阪市西区)
造化三神を祀る「無傷無病・延命長寿」の神社。身代わりのお守り「指輪守」は入手困難なほどの人気で、全国から参拝者が殺到する。「サムハラ」は神字(神代文字)で、災難除けの霊力があると伝わる。

■ 四柱神社(よはしらじんじゃ/長野県松本市)
造化三神+天照大神の四柱を祀ることから「四柱神社」と命名。「願いごと結びの神」として、松本市民の総鎮守として親しまれている。明治12年創建。

一緒に祀られる関連神社

■ 出雲大社(島根県出雲市)
大国主大神を祀る言わずと知れた大社だが、本殿内の御客座五神(みきゃくざのごしん)として、造化三神+宇摩志阿斯訶備比古遅神+天之常立神=別天津神(ことあまつかみ)五柱が祀られている。記事で紹介した「五柱セット」が本殿内に揃って祀られる、希少な聖地。

■ 秩父神社(埼玉県秩父市)
主祭神は八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)――高御産巣日神の御子神。造化三神そのものではないが、その子孫として知恵の神を祀る古社で、秩父三社のひとつ。

全国の関連神社(地域別)

造化三神(天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神)の三柱をまとめて、あるいは個別に祀る代表的な神社を地域別にご紹介します。

■ 関東東京大神宮(東京都千代田区)――天照皇大神・豊受大神を主祭神としつつ、天地万物の生成化育を司る造化三神を合祀。「東京のお伊勢さま」として縁結びでも有名です。公式:https://www.tokyodaijingu.or.jp/

■ 中部四柱神社(長野県松本市)――天之御中主神・高皇産霊神・神皇産霊神・天照大神の四柱を祀り、「願いごとむすびの神」として信仰される、造化三神を主祭神とする数少ない大社のひとつ。
静岡県内では妙見神社(静岡県下田市三丁目)六所神社(浜松市浜名区)に天之御中主命が祀られています。
参考:八百万の神(静岡県・天之御中主神)

■ 近畿サムハラ神社(大阪府大阪市西区)――天之御中主大神・高皇産霊大神・神皇産霊大神の造化三神を「サムハラ大神」として総称してお祀りする神社。無傷無病・延命長寿の神として知られます。公式:https://www.samuhara.or.jp/
星田妙見宮/小松神社(大阪府交野市星田)も、造化三神を主祭神とする妙見信仰の聖地です。公式:https://www.hoshida-myoken.com/

■ 関東(妙見系・古社)秩父神社(埼玉県秩父市)――八意思兼命・知知夫彦命を主祭神とし、明治の神仏分離で天之御中主神が加わった、知知夫国総鎮守の古社。公式:https://www.chichibu-jinja.or.jp/saijin/

「最初の三柱」にいちどに手を合わせたい時は、まず四柱神社・サムハラ神社・東京大神宮のいずれかへ足を運ぶのが王道ルートです。

まとめ|神様を数えるたびに、宇宙の始まりを思い出そう

今日のポイントをおさらいします。

  • 神様は 「柱(はしら)」 で数える
  • 由来は 「神様が木に宿る」 という古代信仰
  • 日本神話で最初に現れた3柱が 「造化三神」
  • +2柱足すと 「別天津神」になる
  • 古事記と日本書紀では「最初の神」が違う

神社で「ご祭神は◯◯神」と書かれた看板を見たら、ぜひ「◯柱の神様だな」と心の中で数えてみてください。きっと、いつもの参拝が少しだけ違って見えるはずです。

次回は、造化三神を祀る代表的な神社 や、世界の創世神話との比較 をお届けします。お楽しみに。

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